じぶん材料あつめ
by abekama
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カテゴリ:し( 2 )
今この時こそ必要な詩(二回目)
『自分の感受性くらい』  茨木のり子


ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにするな

みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにするな

なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにするな

そもそもがひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにするな

わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ

ばかものよ
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by abekama | 2008-11-07 01:18 |
立原道造
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「のちのおもひに」

夢はいつもかへつて行った 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
───そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……

夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには

夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう


─────────────────
わずか二十四歳でこの世を去った立原道造
その二十四年間を私はすでに追い越している
どのような人生だったのだろうか
この詩は私にはまだ早すぎる気がするのだ
しかし読み返すたびに
編集長がこの詩を読んで泣いていた姿を思い出す
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by abekama | 2008-04-17 22:20 |