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本日退職いたしました
たった8ヶ月だけ働き
たいして成果ものこさず
役にも立てないまま
会社を去りました
自分の無力さ甘さを
痛感するだけ痛感して
それだけで会社を去りました
私はほんとうに何もできなかった
ただうそもつけなかった
ずっとそこで働けるだけの魅力を発見することができなかった
興味を深くもてなかった
忙しさを言い訳にしてしまった
辛抱が足りなかった
偏見持ちで固定概念が強く
先入観で人を判断し
何もできていないくせに文句ばかり言って
何をえらそうにこの大馬鹿やろう

最後の仕事で
私の大好きなお店に集金にいった
いつもすてきな女主人の酒井さんは
今日は着物姿でほんとうにきれいで
みとれてしまった
いつものように座布団を引いて
いつものように美味しいお茶と和三盆のお菓子
(この和三盆のお菓子は一口食べると幸せになる魔法のお菓子)
そしていつものようにゆったりとした口調で
ただ今日だけは少し悲しそうに
私が辞めることをとても残念がってくれた
これから私がやっていきたいことを聞いてくれて
そうしたら嬉しそうな顔に変わった
ここに来ると酒井さんと話すだけで幸せな気持ちをもらえる
時間がゆったりとすぎ
仕事に戻らなくてはいけないけれど
ずっとそこにいたかった
すっとしゃべっていられる気がする
刻々と時は過ぎもう帰らなければならない
お互いが腰を上げるのを拒否しているかのように
もう少しもう少し…
そろそろ帰らなくては
立ち上がると酒井さんは紙袋に入った贈り物を渡してくれた
このお店の看板商品の今戸焼の招き猫
「幸せを招いてくれます」
また会えるとわかっているのに
その気づかいが嬉しくて出会えたことが嬉しくて
涙がぼろぼろ出てしまった
酒井さんも泣いてくれた
ぐしゃぐしゃの顔でお別れ
中央通りをそのままの顔で疾走する

会社には新人の二人が待っていて
最後の引き継ぎを終え
机とPCをきれいに拭いて別れのとき

あんなにも怒ってくれた編集長の顔を見たとたん
いろいろな想いが交錯して
やっぱり水が出てきてしまった
手を握ってくれて「がんばってね」と
きっとそれは嘘じゃないと思った
なんにも役に立てなくてごめんなさい
編集長の泣き顔はほんとうだった
「これを見て辛かった時期のことを思い出してがんばれ」
先輩から贈り物をもらい
たった三日間だけど
私のへたくそな説明を真剣に聞いてくれた新人の二人に
エレベーターの前まで見送ってもらい
私は会社を去りました

家に帰ってから何回も鼻をかんでいる
ティッシュが散乱している
酒井さんのくれた招き猫がこっちを見てる
明日から今まで以上にがんばろう
by abekama | 2008-10-31 23:50 | ひびのこと
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